妊娠がわかって喜びもつかの間、つわりが始まって朝から吐き気で憂鬱な日々…
「こんなはずじゃなかった!」と、叫びたくなる人もいるのでは?
今回は、つわりに悩まされている妊婦さんに役立つ情報を提供します。
こんな方におすすめ
- つわりが辛くて心が折れそうな人
- つわりで仕事や家事に支障をきたしている人
- つわりで何を食べたらいいのか、わからなくなった人
心を軽くするために知っておこう
つわりに悩む妊婦さんは、みんなどんな気持ちで過ごしているのでしょうか?
いくつか例を見ていきましょう。
この他にも、
「辛すぎて死にたくなる…」や
「妊娠したことを後悔した」
と、いう人も…
そして、毎日何もできない自分に罪悪感を感じて過ごしている妊婦さんもたくさんいます。
しかし、本当に何もできていないのでしょうか?
次のような意見もあります。
つわりがあるのは赤ちゃんがお腹にいる証拠です。
そして、お腹の赤ちゃんを守れるのはママだけです。
そして、重いつわりについて、こんな意見もあります。
これから出産という体に負担のかかる大仕事をするわけですが、つわりの経験はきっと役に立つはずです。
そして、みなさんが少しでも希望が持てるように、次のことは知っておいてください。
つわりはいつまで続くの?
つわりは、早い人は妊娠4週目あたりから、一般的には妊娠5週目あたりから症状が現れ始めます。
ピークは妊娠8週目から10週目あたりでしょう。
そのあと、多くの人が妊娠12週目から13週目あたりで症状が落ち着きます。
長くても妊娠15週目から16週目には終わるでしょう。
では、この期間を妊娠月数のカレンダーで確認してみましょう。
妊娠1ケ月 | 妊娠0週目~3週目 | 最終月経の開始日以降 |
妊娠2ケ月 | 妊娠4週目~7週目 | つわりの症状が始まる |
妊娠3ケ月 | 妊娠8週目~11週目 | つわりのピーク |
妊娠4ケ月 | 妊娠12週目~15週目 | つわりが落ち着く |
妊娠5ケ月 | 妊娠16週目~19週目 | 安定期に入る お腹がふっくらしてくる |
妊娠6ケ月 | 妊娠20週目~23週目 | 胎動を感じるようになる |
妊娠7ケ月 | 妊娠24週目~27週目 | 健診が2週間に1回になる |
妊娠8ケ月 | 妊娠28週目~31週目 | お腹が張りやすくなる |
妊娠9ケ月 | 妊娠32週目~35週目 | いよいよお腹が大きくなる |
妊娠10ケ月 | 妊娠36週目~40週目 | 臨月 |
このように、つわりの期間は40週もある長い妊娠期間の3分の1以下です。
必ず終わりがきます!
ピークにいる人は、とても辛い時期ですが、今だけの辛抱なので、何とか乗り切りましょう!
つわりの症状には個人差があるの?
つわりはその症状や重さ、期間も個人差があります。
つわりをあまり感じることなく出産を迎える人もいれば、「妊娠悪阻」となって入院する人もいます。
また、第1子の出産では症状が軽かったのに、第2子の時は重い症状に悩まされている、という話もよく聞きます。
つわりは病気ではないし、個人差もあることから、妊娠を経験したことのない人などには、
苦しさを理解してもらえずに、孤独感を感じる人もいるでしょう。
しかし、たとえ今、毎日ソファーに横たわって過ごしていたとしても、
お腹の中で大切な赤ちゃんを育てていることには変わりないので、
ママにしか出来ないことをやっている最中なんだと、自信を持って過ごしてください。
つわりの代表的な種類は次にあげる5つです。
- 吐きつわり 食べてもすぐに吐いてしまう
- 食べつわり 食べていないとすぐに気持ち悪くなる
- 匂いつわり 特定のものの匂いで気持ち悪くなる
- 眠気つわり 眠気がひどくダルさがとれない
- よだれつわり よだれが大量に出る
吐きつわり・食べつわり・匂いつわりについては、それぞれの症状に合ったおすすめの食べ物を後ほど紹介していますので、気になる方はそちらをご覧ください。
眠気つわりについては、ゆっくり休むのが一番ですが、仕事でそうもいかない方も多いでしょう。
そんな方はこちらをご覧になってください。
よだれつわりの方は、外出の際がとにかく厄介ですよね。
次のようなものを持ち歩いておくと便利でしょう。
メモ
・色付きペットボトル (中によだれを出しても見えずらい)
・大きなタオル
・ガムや飴
また、下記のような場合は「妊娠悪阻」の恐れがありますので、病院に連絡されることをおすすめします。
注意
・吐き気で水も飲めない
・体重が5%以上減少した
つわりの時期の赤ちゃんの成長は?
つわりの時期は、食事をきちんと摂ることが出来ず、赤ちゃんの成長を心配する方も多いでしょう。
しかし、実はこの時期はまだ、ママのお腹の中に胎盤が完成していないので、
赤ちゃんはママから直接栄養を受けとるよりも、卵黄嚢(らんおうのう)という部分から栄養分を受け取っています。
卵黄嚢(らんおうのう)とは、名前の通り卵の黄身のようなもので、それ自体に栄養がつまっていて、お弁当の役割を果たします。
つまり、つわりの時期に十分な栄養が取れなくても、赤ちゃんは成長します!
ただしこの時期は、その後の赤ちゃんの成長を支える胎盤が作られる時期です。
つわりの時期が終わると、安定期に入り、赤ちゃんはこの胎盤を通して、ママの血液から栄養を受け取ります。
しっかりとした胎盤ができるためには、ママ自身の健康が重要です。
ですから、つわりの時期は決して無理せずに、ご自身の心と身体の健康を第一に考えて過ごしてください。
毎日の生活のために知っておこう
妊娠と出産を考えた時、子育てについてあれこれと考えて、計画する人は多いでしょうが、
つわりの時期の過ごし方をあらかじめ計画する人はあまりいないでしょう。
思いがけないほどの辛さに、困惑している人が多いのでは?
そんな方は次のことを知っておくと便利です。
つわりがキツくて仕事に行けない!
妊婦さんの中には、「つわりは辛いけど、仕事をしていると気がまぎれる」という方もいますが、それはつわりの程度にもよるでしょう。
吐き気やからだのダルさで、全く仕事に手がつかない、という人も多いです。
前述したように、つわりには個人差があるので、他人とは比べない方がよいでしょう。
周囲に理解のある人が多く、早退や遅刻などに寛容であればいいのですが、そうでない場合もあります。
そんな方に知っておいていただきたいのが、
「母性健康管理指導事項連絡カード」です。
上のイラストのように、医師から職場のマネージャーに対して、妊婦の健康状態を伝え、適切な措置を願い出るものです。
厚生労働省のHPから様式をダウンロードすることもできるので、ご活用ください。
つわりで家事ができない!
匂いつわりの人は、ご飯の炊けるにおいや洗剤のにおいなど、日常のあらゆる場面で匂いに敏感になり、辛い思いをするでしょう。
家事なんてとてもじゃないけれど、やっていられませんよね。
ただ、この家事をどうするかという問題は、つわりの時期だけの問題ではありません。
それは、この後確実に産褥期(さんじょくき)を迎えることになるからです。
出産後、ママの体が元の状態に戻っていく期間であるこの産褥期は、交通事故からの回復と同レベルとも言われているほどです。
そんな中でも赤ちゃんのお世話があるので、家事は他の人に助けてもらわなければなりません。
そんな時期がこの後にやってくることをふまえて、どうするか考えてみてください。
家事のサポートを考えるなら、次のような方法があります。
- 家族のサポート (夫や両親 など)
- 家事代行サービス
- 便利な家電の導入 (掃除ロボットや食洗機 など)
今後のことも考えると、夫の協力や家事の手抜きに対する理解は大切です。
また、体が思うように動かない時は、両親や義理の両親に手伝ってもらえれば、大分助かりますね。
家事代行サービスの利用する場合、大手の会社やシルバー人材センターなどの選択肢があります。
大手の家事代行サービスには、次のような会社があります。
また、シルバー人材センターですと、プロのような仕事は期待できませんが、比較的安価にサービスを利用することができます。
また、最近の家電はスマホと連携できるものもあり、外出先から掃除ロボットを動かすこともできます。
つわりの先にある産褥期や、そのまた先にある職場復帰(ワーママ生活)を見通した上で、選択するといいですね。
子供の相手をしてあげられない!
つわりで体調が悪いと、上の子どもを公園に連れて行ってあげたり、一緒に遊んであげたりできなくて、罪悪感を感じてしまう人もいるでしょう。
そんな時は、地域のサービスに頼ってみてはいかがでしょうか?
ファミリー・サポート・センター
ファミリー・サポート・センターとは、子育てのサポートを受けたい人と、サポートを行いたい人が会員となって助け合う仕組みで、市区町村が運営しています。
会員になると、子供のお預かりや保育施設への送迎などのサービスを、比較的安価で受けることができます。
金額やサポートの内容は自治体によって異なるので、気になる方は確認してみてください。
子育てシェアサービス
子育てシェアとは、ママ友や地域の知り合いと気軽に助け合えるコミュニティサービスです。
会員登録し、地域のコミュニティリーダーをさがしたり、コミュニティに参加したりして、
お預かりをお願いしたり、逆に自分に余裕があるときは、他の会員の子ども預かって謝礼をもらうこともできます。
興味を持った方は、是非チェックしてみてください。
赤ちゃんと自分の健康のために知っておこう
つわりの時期は、何を食べても美味しくないかもしれませんが、健康のためにできるだけ栄養を取りたいですよね。
ここでは、妊娠中におすすめの食べ物や、逆におすすめできないもの、
また、妊娠初期でもできる簡単な運動やマッサージをご紹介します。
妊娠中に取るべき栄養素
つわりの時は思うように食事が摂れず、栄養不足になりがちです。
次に挙げる栄養は、妊娠中に欠かせないものなので、食事から摂ることが難しい場合は、サプリメントなどを利用してもいいでしょう。
葉酸
葉酸はDNAやタンパク質の生成を促し、細胞の分裂や成長を助ける、赤ちゃんの成長には重要な栄養素です。
特に、赤ちゃんの脳の発育を助ける働きがあります。
つわりの始まる妊娠2ケ月頃は、赤ちゃんの脳や脊髄が作られる時期なので、積極的に取った方がよいでしょう。
葉酸を多く含む食べ物
枝豆・アスパラガス・イチゴ など
鉄分
鉄分は血液中のヘモグロビンを作り、ヘモグロビンは体全体に酸素を運ぶ働きがあります。
妊娠中は赤ちゃんに酸素を送るため、通常よりも多くの血液が必要となります。
そのため、母体は鉄分の不足による貧血になりやすくなります。
また、妊娠中期および後期になると、胎盤を通してママから赤ちゃんへ直接栄養が血液を通して運ばれますから、より多くの鉄分が必要となります。
鉄分を多く含む食品
あさり・納豆・小松菜 など
妊娠中に避けた方がいい食べ物
お腹の赤ちゃんのために、次に挙げるものは避けた方がよいでしょう。
中には、普段は健康に良いと思って食べているものもありますので、是非この機会に知っておいてください。
生もの
生ものや十分に加熱されていないものには、次のような病原体が含まれている可能性があります。
危険
・トキソプラズマ (生肉・生ハム・レアステーキ・ローストビーフ など)
・リステリア菌 (お刺身・スモークサーモン・ナチュラルチーズ など)
トキソプラズマとは寄生虫の名前で、豚や牛など肉に付着しています。
67度以上で2分程加熱することで、死滅します。
ですから、十分に火の通っていない生ハムやローストビーフなどは感染の危険があるため、避けた方が無難です。
妊娠中に感染すると、先天性トキソプラズマ症という赤ちゃんの脳や眼に重い障害が生じる危険性があります。
リステリア菌とは、川の水や動物の腸内など、広く環境中に存在する細菌です。
こちらも75度以上で1分程加熱することによって、死滅します。
しかし、4度以下の低温や食塩水の中でも増殖できるため、スモークサーモンやナチュラルチーズは避けた方がよいでしょう。
妊娠中に感染すると、リステリア症から赤ちゃんの脳に重い障害が生じる危険性があります。
うなぎ・レバー
ビタミンAは、動物性ビタミンA(レチノール)と植物性ビタミンA(カロテン類)があります。
このうち、うなぎやレバーに多く含まれる動物性のビタミンAは、摂りすぎると赤ちゃんに先天性の異常をきたす危険性があります。
つまり、うなぎやレバーは食べても大丈夫ですが、食べる量や頻度に注意が必要です。
動物性ビタミンAの1日の摂取量の上限は3,000μgRE/日とされています。
うなぎやレバーに含まれる動物性ビタミンAの量は次の通りです。
食品名 | 100gあたりの含有量 |
鶏レバー | 14,000μg |
豚レバー | 13,000μg |
牛レバー | 1,100μg |
うなぎ | 1,500μg |
アルコール
当然のことですが、妊娠中にアルコールは厳禁です。
誰でも知っていることなので、ここではその理由を記載します。
妊娠中の女性が飲酒することによって引き起こす赤ちゃんの障害を、「胎児性アルコール・スペクトラム障害」といいます。
この「胎児性アルコール・スペクトラム障害」に治療法はなく、予防する事しかできません。
赤ちゃんへの影響としては、次のようなものが挙げられます。
- 顔面を中心とする形態異常
- 発達遅滞
- 脳障害
- 後年のうつ病や依存症などの精神的問題
基本的に、飲酒の量に比例してリスクも高くなりますので、気づいた時点で飲酒を控えてください。
つわりの時期におすすめの食べ物
ここでは、先ほど紹介したつわりの種類別に、おすすめの食べ物を紹介します。
吐きつわり
「何を食べても吐いてしまう…」
そんな方は、たとえ吐いてしまったとしても負担の少ないものが良いでしょう。
上の写真のようなスムージーや野菜スープであれば、のどの通りも良く、お腹にもやさしいですね。
スムージーには葉酸の多いイチゴやアボカドやマンゴーなどのフルーツを使うのもおすすめです。
また、吐きつわりの方は脱水症状が心配です。
水分が上手く摂れない時には「オーエスワン」のゼリータイプがおすすめです。
食べつわり
食べつわりの方は、体重の増加が心配ですよね。
たとえば、職場や外出時に、プチトマトやこんにゃくゼリーを常備しておくのは、いかがでしょうか?
サッと食べられて便利です。
また、自宅にいる時はもずく酢などもサッパリしていておすすめです。
匂いつわり
匂いつわりの方は、ご飯の炊けるにおいや、お味噌汁のにおいも気持ち悪くなるのでは?
温かいと匂いを感じやすいので、冷たくしてから食べる方がよいでしょう。
また、ナッツ類で栄養補給するのはいかがでしょうか?
ビタミンやミネラルなどの栄養が豊富なナッツ類は、匂いもなくおすすめです。
妊娠初期でもできる運動
つわりで寝ていることが多いと、血行が悪くなって、さらに体調が悪化する感じがしますよね。
妊娠するとお腹に負担をかけないために運動が制限されますが、ヨガやストレッチなどで気分転換したいところです。
一般的にマタニティヨガは安定期に入る妊娠16週目以降から、と言われています。
もちろん、マタニティヨガのクラスに通うのは、安定期に入ったあとにすべきですが、
呼吸法をメインとした体への負荷が少ないものであれば、自宅で体調をみながら行うこともできます。
ただし、次のような場合はやめておきましょう。
禁止
・高/低血圧症、心臓疾患、重度の合併症のある場合
・医師に許可を得ていない場合
・体調不良やお腹に違和感がある場合
また、つわりに効くツボもあるので、ベットの上でも是非お試しください。
まとめ
以上のことをまとめると、次の通りです。
1.つわりは一時のもので、必ず終わりがくる
2.つわりの症状には個人差があるので、決して人と比べない
3.つわりの時期、赤ちゃんは栄養を受け取るお弁当箱を持っている
4.仕事が休みずらいなら「母性健康管理指導事項連絡カード」を提出する
5.家事の負担減は長期目線で計画をたてる
6.子育ては地域のサポートも検討
7.葉酸や鉄分はサプリメントを利用してもしっかり摂る
8.生ものや動物性ビタミンAには気をつける
9.つわりでも食べられるものをさがす
10. ヨガやツボ押しで少しでも症状を軽減する
この記事を読んで、気持ちや症状がラクになった、という方がいたら幸いです。