生まれてくる赤ちゃんのために用意したベビー服。育児書や育児関係のサイトを見ると「あらかじめ水通しをしておきましょう」なんて書いてあったりしますよね。
繊細な赤ちゃんのお肌を守るためにも大切な水通しですが、あまり耳なじみのないプレママ・プレパパも多いのではないでしょうか。
「水通しってみんなやってる?」
「そもそも水通しって何?」
「水通しした後はどう保管する?」
「なんでジップロックに入れるの?」
ここではそんな疑問にお答えしていきます。
万全の準備を整えて、安心安全な状態で赤ちゃんをお迎えしましょう!
ベビー服の水通し、先輩ママはどうしてる?
出産準備としてベビー服を購入したら、実際に赤ちゃんに着せる前に一度水洗いをして「水通し」をする方がよいとされています。
「新品だからキレイだし、そのまま着せてもいいんじゃないの?」と思うかもしれませんが、実は買ったばかりのベビー服には、デリケートな赤ちゃんのお肌には刺激が強い成分が付着している場合があり、肌トラブルの原因となってしまうことも。
それを防ぐためにも出産準備で「水通し」をしておくことはとても大切になってきます。
ベビー服と一口に言っても、短肌着に長肌着、ロンパースやカバーオールなど種類も様々、洗い替え用に枚数も多くあり、全てを水通しするのは一苦労。出産前の時間のあるときに何日かに分けて水通しを行うママが多いようです。
水通しを行う時期は、できれば出産直前より少し余裕を持って、妊娠8~9ヶ月頃がおすすめ。
天候や季節、花粉などの影響も考えながら、無理のないように準備していきましょう。
水通しとは
「水通し」とは、新品のベビー服やガーゼ、ベビー布団などの布製品を赤ちゃんが触れる前に一度洗っておく作業のことを指します。新品のベビー服をなぜわざわざ事前に洗う必要があるのか、詳しく見ていきましょう。
なぜ水通しが必要なの?
生まれてすぐの赤ちゃんの肌はとってもデリケート。実は新品の服には、その製造過程において使用された染料や化学薬品などにより多くのアレルゲンが付着している場合があります。それらのアレルゲンは大人であればほぼ影響はないのですが、デリケートな赤ちゃんの肌にとっては刺激が強く、皮膚炎やアレルギーの原因となってしまう可能性があるのです。
衣類に付着したそれらの物質を洗い流すことが「水通し」の大きな目的になります。
ホルムアルデヒド
シックハウス症候群の原因の一つとも言われているホルムアルデヒドは、水素や炭素、酸素から構成される有機化合物の一種。繊維のシワや縮みを防止する効果があるため、衣類にもよく使われています。
しかし、このホルムアルデヒドは生き物の粘膜を刺激する毒性のある物質であり、発がん性があるため使用には厳しい基準値が設けられているのです。
大人よりも皮膚機能が未熟で、ホルムアルデヒドの影響を受けやすい生後24ヶ月以下の乳幼児が使用する繊維製品に関しては特に厳しい基準値が定められており、現在販売されているベビー服は低濃度で安全なものがほとんど。
しかし低濃度とはいえ、ホルムアルデヒドの含有量がゼロというわけではないので、少しでもそのリスクを減らすためにも、ベビー服を使用する前に「水通し」をすることが推奨されているのです。
まだ視覚や触覚が未発達な赤ちゃんは、まずは口に入れて目の前のものが何であるのかを確認します。赤ちゃんがホルムアルデヒドの付着した衣服を口に含んでしまうことがないよう、水通しを確実に行うようにできると安心ですね。
ホルムアルデヒドは水に溶けやすい性質を持っているため、しっかり水通しすれば簡単に除去することができますよ。
糊
新しい服には、シワや型崩れを防止するため、糊が使用されています。この糊も、赤ちゃんの肌がかぶれる原因になることがありますので注意が必要です。
糊が付着したままの衣服はゴワゴワとして肌触りが悪く、敏感な赤ちゃんの肌には刺激となってしまいます。
また、糊によって吸水性が阻害されてしまうので、汗などを十分に吸収できないという弊害も。
赤ちゃんは、身体は小さいのですが汗腺の数が大人と変わらないため、非常に汗っかきです。衣服が十分に汗を吸い取れない状態では、汗腺が詰まって汗疹などの肌トラブルに繋がる可能性もあります。
赤ちゃんの不快感や刺激の軽減、衣服の吸水性アップのためにも、しっかり水通しをして糊を洗い流しておきましょう。
大気汚染物質
排気ガスや花粉、黄砂、PM2.5などの大気汚染物質を洗い流すことも水通しの目的の一つです。
特に近年では花粉や黄砂などの飛散量も増えており、これらの物質は体内に入り込むと咳やくしゃみ、鼻水のほかアレルギー性鼻炎などの症状も引き起こします。
目に見えないうちに衣類や布団へ吸着してしまったこれらの物質から赤ちゃんを守るためにも、しっかり洗い流して清潔な状態の衣服を用意しておきたいところ。また水通し後には再び吸着するのを防ぐためジップロックを利用するなど、保管方法にも気を配る必要があります。
花粉や黄砂の多い時期には外干しを避けて室内干しにしたり、水通し後の乾かし方にも注意を。可能な限り汚染を避けられるよう対策していきましょう。
染料
服に色を付けるために用いられる染料。ベビー服も様々な色や柄、プリントで可愛らしくデザインされていますよね。
特に濃い色合いの服には染料が多く使用されており、それが敏感な赤ちゃんの肌トラブルを招くことも。余分な染料が汗で溶け出してくる可能性もありますので、先に水通しをして洗い流しておくと安心です。
一度水通しをしておけば、後の色移りや色落ち、生地が縮んでしまうのを防止することができるというメリットもあります。
ダニやカビ
新品ではなく、使って洗ってからしばらく保管しておいた上の子や親戚・知人からのお下がり服の場合も、新しく迎える赤ちゃんに着せる前に一度水通しをしておくことをおすすめします。
大気中や同じ場所に収納していた大人の服などからホルムアルデヒドが移染している可能性があるほか、しばらく保管している間にダニやカビが発生している場合があるためです。
特に通気性の悪い環境や、湿気の多い場所に保管していた場合は要注意。ダニやカビは高温で死滅させることが可能ですので、衣類乾燥機や布団乾燥機などで高温にさらした上で水洗いをし、死骸などをしっかり除去するようにしましょう。
注意
ベビー服の生地には赤ちゃんの肌に優しい綿やシルク、ウールなどがよく使われています。これらの天然素材は熱や摩擦に弱く、乾燥機にかけると傷んだり縮んだりしてしまうことも。洗濯表示を確認し、短時間だけ乾燥機にかけてあとは部屋干しで乾かすなど、なるべく生地にダメージを与えないよう気をつけてください。
水通しのやり方
続いて、ベビー服に水通しするときの手順をご紹介します。
ベビー服の水通しで準備するものはこちら。
- 洗濯槽クリーナー
- 洗濯ネット
- 赤ちゃん用洗濯洗剤
- ベビーハンガー
準備ができたら早速水通ししていきましょう!
手順
①洗濯槽クリーナーで洗濯機を洗浄する
まずは洗濯機の洗浄です。
洗濯機の洗濯槽には、日々の洗濯で衣類から出たゴミや洗剤のカス、カビや雑菌などが付着しています。そのままの状態でベビー服を洗濯してしまうと、せっかく水通ししたベビー服にかえって汚れが付着してしまうことになりかねません。
それを防止する意味でも、ベビー服の水通しをする前に洗濯槽クリーナーを使って槽洗浄をしておくのがおすすめ。
湿気が多くどうしてもカビや雑菌が繁殖しやすい環境になってしまいがちな洗濯機ですが、赤ちゃんの健康を守るためにも、水通しの前準備として目に見えない洗濯槽の裏側まできっちりキレイにしておきましょう。
洗濯槽クリーナーには大きく分けて塩素系と酸素系の2種類があります。それぞれの特徴はこちら。
主成分 | 特徴 | 洗浄力 | 殺菌力 | |
塩素系洗濯槽クリーナー | 次亜塩素酸ナトリウム | 汚れやカビ、細菌類を分解・殺菌する。 | △ | ◎ |
酸素系洗濯槽クリーナー | 過炭酸ナトリウム | 強い発泡力でこびりついた汚れやカビを剝がし落とす。 | ◎ | △ |
「赤ちゃん用なら肌に優しい酸素系を!」という声もありますが、使用方法や容量を守って使えばクリーナーの成分が洗濯機に残ることはないので、基本的にはどちらのクリーナーを使用してもOK。どうしても心配な場合は、槽洗浄後、赤ちゃんの服を洗う前に一度大人の服やタオルを洗濯しておくとよいでしょう。
肌や服への優しさを重視するなら酸素系、殺菌力を重視するなら塩素系をおすすめします。洗濯機の種類によっては、使用できるクリーナーの種類が限定されている場合もありますので、取扱説明書を確認することもお忘れなく!
②ベビー服を洗濯ネットに入れる
洗濯機の洗浄が完了したらいよいよベビー服の水通しです。
型崩れや生地の傷みを防止するため、ベビー服を洗濯ネットに入れて洗濯します。肌着の紐はほどいておきしょう。
ホルムアルデヒドの使用基準値が乳幼児の服とは異なる大人の服は、同時に洗濯せずできる限り分けて洗濯するのがベスト。水通し以降も1歳くらいまでは大人の服とは別々に、洗剤も赤ちゃん用の低刺激のものを選んで洗濯するようにしてあげてください。
ポイント
1歳以降は、肌の異常がないかなど様子を見ながら、大人の服と一緒に洗濯してもOKです。ただし、新品の大人の服を一緒に洗濯するのは基準値が同じになる2歳頃からにするのが無難。
③洗濯表示に沿った洗濯コースで洗濯する
赤ちゃんの肌に優しい素材で作られているベビー服は、中にはデリケートな作りのものも。あらかじめ洗濯表示を確認しておき、場合によっては生地を傷めにくいソフトな洗い方のコースを選んで洗濯するようにしてください。
洗剤は低刺激な赤ちゃん用のものを使用しましょう。
④形を整えて干す
洗濯が終わったら、すぐに形を整えベビーハンガーなどを使って干します。濡れたまま放置してしまうと雑菌が繁殖する原因になってしまいますので注意してくださいね。
大人用のハンガーだと肩幅が合わず型崩れや干しにくさの原因となってしまいますので、できればベビーハンガーを用意しておくのがおすすめです。乳児期以降も、キッズサイズまで意外と長く便利に使えます。
基本的には外干しで日光に当てて乾かしますが、花粉や黄砂、PM2.5などの飛散量が多いときは部屋干しで日光の当たる窓際に。適宜ベビー服同士の干す間隔を空けたり、扇風機や除湿器、エアコンを活用することで、生乾きにならないよう効率的に乾かすことが大切です。
⑤ジップロックや蓋付きの収納ケースなどに入れて保管する
水通し後、乾いたベビー服はホルムアルデヒドの移染を避けるために大人の服と別にして収納するようにします。
せっかく水通ししてキレイになったのに、そのまま大人の服と同じ場所へ収納してしまうと、大人の服からホルムアルデヒドが移染してしまったり、大気中の花粉などを吸着してしまったりと本末転倒ですよね。
赤ちゃんの肌に触れても安心安全な状態を保って保管するために、ジップロックに入れて密封したり、蓋付きの収納ケースなどに入れて大気中の有害物質やホルムアルデヒドを吸着しないように気をつけましょう。
ポイント
大人用の服と赤ちゃん用の服をしっかり分けて保管するためにも、ベビー用タンスを用意しておくのがおすすめ。ホルムアルデヒドの発散濃度が非常に低いことを示す「F☆☆☆☆(エフ フォースター)」という表記がある製品であれば、赤ちゃん用にも安心して使うことができます。
ジップロック収納のメリット・デメリット
水通し後にベビー服を保管するときにはこれを使ってるよ!というママの声が多いのがジップロック。そんなジップロック収納のメリット・デメリットについても解説していきます。
ジップロック収納のメリット
密封できる
多くのママたちに支持される一番の理由がこの「手軽に密封状態にできる」という点。
手間と時間をかけて水通ししたベビー服をホルムアルデヒドの移染や大気汚染物質から守るためにも、空気に触れない密封状態にできるというのは重要なポイントです。
しっかり密封した状態なら、ベビー用タンスを用意するまでの仮置きとして、大人用タンスの一角にベビー服を置いておくこともできますね。
収納スペースの節約
ジップロックに入れて空気を抜けば、きゅっと圧縮されてベビー服はかなりコンパクトに収納できるようになります。
タンスに仕舞うときには、ブックエンドなどを利用して縦置き収納にすると取り出しやすくわかりやすい収納になるのでおすすめ。
どうしても数が多くなりがちなベビー服を、限られた収納スペースにすっきり片づけることができます。
様々なサイズに対応
サイズの豊富なジップロックなら、ベビー服以外にも肌着やガーゼ、靴下、帽子などの様々な小物の収納にも使うことができます。
種類別に分けてわかりやすくラベルなどを付けて仕舞っておけば、ママ以外の人にもわかりやすく、「あれはどこに仕舞ったっけ?」という事態も防げますね。
赤ちゃんが生まれてからも、お出かけ用にさっと取ってそのままカバンに詰めることができるのでママの負担軽減&時短に。
ジップロック収納のデメリット
保管期間や湿度によってはダニやカビが発生することも
密封できることはジップロック収納の大きな魅力ですが、通気性がないことでかえってダニやカビなどの発生原因となってしまうことも。
保管期間が長くなったり、湿度の高い季節や場所での保管になるとそのリスクは高まります。
そういった場合は、通気性の良い不織布カバーやホルムアルデヒドを吸着・分解してくれるシートを活用するのも一つの手。
一度水通ししておけば少なくとも服に付着しているホルムアルデヒドなどは洗い落とせますし、蓋付きの収納ケースに入れておくだけでも、そのまま置いておくより遥かに有害物質等の吸着は防ぐことができます。絶対に密封していないといけないというわけではないので、あまり神経質になりすぎず、できる範囲で対策をしていきましょう。
手間と時間がかかる
数も種類も多いベビーグッズをすべて水通しして乾かして一つ一つジップロックに仕舞っていくのは思った以上に手間と時間がかかる作業。
妊娠中はもちろん産後も、できるだけママの負担にならないように、パパ主動で手伝ってもらったりママ一人でもできる範囲だけやるようにしましょう。
大変ながらも「世界一幸せな洗濯」と呼ばれる水通し作業!夫婦でこの幸せな時間を共有できたら素敵ですね。
水通し後のベビー服収納のポイント
最後に、水通し後のベビー服収納のポイントをご紹介。ここで一工夫しておくと赤ちゃんが生まれたあとのお世話時にも便利に使うことができるので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
品名やサイズを記入しておく
せっかくキレイに収納したベビー服も、「どれにどれが入ってたっけ?」なんて一つ一つ開けて確認なんて事態に陥ったら大変。ぜひ『ベビー服 60cm』『肌着 80cm』といった具合に品名やサイズを記入して、ジップロック上部などの一目でわかるところに貼っておくことをおすすめします。
ぐんぐんサイズアップしていく赤ちゃんの服は、収納の中でサイズがごちゃごちゃになってわかりにくくなってしまいがち。ベビー服を種類別・サイズ別に分けて収納&記入しておくことで、そういった事態も防げます。
その状態で保管しておけば、下の子や知り合いの子へのお譲りのときに一枚一枚サイズを確認して分けて、という手間も省けますよ。
基本は縦収納
ベビー服を収納するときは上から見てわかりやすい&取りやすい縦収納が基本。重ねると下に入っているものがわからなくなってしまうので、収納ケースなどを用意するときは高さが低めのものを選ぶのがベターです。
更にジップロック収納&ブックエンドを活用すれば、かなりの省スペース化に。枚数の多くなるベビー服だからこそ、できるだけスペースを有効活用していきたいですね。
フタ付き収納ケースやプラスチック袋、ビニール袋で代用も◎
いちいちジップロックになんて入れてられない!というママにおすすめなのが、こちらのようなフタ付き収納ケース。
ジッパーで開閉も楽々、仕切りがあるのも嬉しいポイント。ジップロックのようにしっかり空気を抜いて密封というわけにはいきませんが、大人の服と分ける・空気中の汚染物質の吸着を避けるという点ではこちらでも十分です。
ビニール袋や、こちらのようなプラスチック袋に入れて埃からガードするというママも多いですよ。お気に入りの色やデザインの袋に入れたり、種類ごとに変えてみるのもお洒落且つ楽しいのでおすすめ。
あまり気負いすぎず、ママが無理なく納得できる収納方法を見つけてみてくださいね。
まとめ
生まれてくる赤ちゃんのための大切な準備の一つである「水通し」。繊細な赤ちゃんの肌を守るために欠かせない作業ですよね。
水通しで大事なポイントはこちら。
- ホルムアルデヒドなどの有害物質を水で洗い落とす
- 糊を洗い落とすことで肌触りや吸水性が良くなる
- 生地の色落ちや縮みの防止にも
- ジップロック収納で密封、スペースの節約、わかりやすい収納
- 神経質になりすぎず、無理のない範囲で作業したのでOK!
赤ちゃんに会えるのを楽しみに、ぜひこの「世界一幸せな洗濯」を楽しんでくださいね。