妊娠すると多くの人が経験するのが「つわり」 です。つわりは、吐きづわり、食べづわり、においづわり…… など、人によって症状が違います。
好きだった食べものを受けつけなくなることや、ちょっとしたにおいで吐いてしまうことも……
つわりのせいで食事が摂れないと、「赤ちゃんに栄養がいかないんじゃないか」 と心配になりますよね。
そんなときにオススメなのがオレンジジュースです。オレンジジュースは妊娠中に必要な栄養も摂れて、つわりの症状を和らげてくれます。
栄養も摂れてつわりにもよいなんて、つらい思いをしている妊婦さんにとっては、待望のアイテムではないでしょうか。
ただ、飲み方には注意が必要ですので、そのあたりも合わせて解説していきますね。
この記事でわかること
- オレンジジュースがオススメな理由
- つわりにオレンジジュースがよい理由
- オレンジジュースを飲むときの注意点
妊娠中にオレンジジュースがオススメな理由
オレンジジュースには、いったいどんな効果があるのでしょうか。オレンジジュースに含まれる主な栄養素や、栄養素の役割を説明します。
オレンジジュースに含まれる栄養素
オレンジジュースには主に以下の栄養素が含まれています。
・葉酸
・カリウム
・ビタミンC
・クエン酸
・βカロチン
それぞれの栄養素の、オレンジジュースコップ1杯の含有量(目安) と、妊婦の1日の推奨量が下記になります。
栄養素 | コップ1杯(200ml) 含有量 目安 | 妊婦の1日推奨量 |
---|---|---|
葉酸 | 30㎍ | 480㎍ |
カリウム | 260mg | 2,000mg |
ビタミンC | 60mg | 110mg |
クエン酸 | 2g | 規定なし (疲労回復には10~15g) |
βカロチン(ビタミンA) | 100㎍ | 約700㎍REA(ビタミンAとして) |
参考: 厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020年度版)、文部科学省 日本食品標準成分表(柑橘系ストレートジュース参照) 、他
上記の栄養素がそれぞれどんな働きをしているのかを説明しますね。
葉酸で赤ちゃんに栄養を
妊娠4~7週頃、お腹の赤ちゃんの約80%の神経系(脳や脊椎など) がつくられます。葉酸は赤ちゃんの神経系の発育に必要な栄養素です。葉酸が不足すると、二分脊椎(にぶせきつい) などの神経管閉鎖障害や、流産や死産の原因になることがあります。そのことからも、葉酸は妊婦にとって大切な栄養素の一つといえます。とくに妊娠初期は葉酸をしっかり摂る必要があります。
また、葉酸は血液をつくるときにも使われるため、貧血の予防にもなります。
カリウムでむくみと高血圧予防
カリウムは体のなかの塩分(ナトリウム) を排出してくれます。塩分が多くなると、身体は水分を必要とするため、結果としてむくみが生じます。さらに妊娠すると、血液量が増加するため、普段よりむくみやすくなります。
ジャンクフードや濃い味付けのものを食べていると、塩分の摂りすぎで妊娠高血圧症候群のリスクが上がることも。
むくみや妊娠高血圧症候群の予防のために、妊娠中は塩分を控え、カリウムの摂取が推奨されています。
ビタミンCで貧血予防
ビタミンCは鉄の吸収を手伝ってくれるため、貧血の予防になります。妊娠中はお腹の赤ちゃんが鉄を必要とするため、鉄の必要量が増加し、妊婦さんは貧血になりやすくなります。鉄の吸収にはビタミンCが必要なので、鉄を摂るときはビタミンCも一緒に摂りましょう。
またビタミンCには抗酸化作用があり、紫外線などのダメージからも体をまもってくれます。
クエン酸で疲労回復
クエン酸はエネルギーをつくり、さらに疲労回復も手伝ってくれます。
私たちが活動するために必要なエネルギーをつくるときには、体内で「クエン酸回路」 というシステムが働きます。そのクエン酸回路では、クエン酸が中心となって働いてくれています。疲労がたまったときにも、クエン酸が働くことで、疲労回復の役割をしてくれます。
妊婦さんは通常より疲労がたまりやすいため、クエン酸をとることで疲労回復をして、元気に過ごしましょう。
βカロチンで皮膚や粘膜の健康維持
β(ベータ) カロチンは体内でビタミンAとして作用します。
ビタミンAは、妊婦さんの皮膚や粘膜を守る働きや、お腹の赤ちゃんの眼や免疫の発育に必要とされる栄養素です。
ただビタミンAは摂りすぎに注意が必要です。ビタミンAは脂溶性ビタミンといって、体にたまってしまうタイプのビタミンです。
お腹の赤ちゃんに影響する場合もあるため、1日の摂取推奨量(約700㎍REA) 以上は摂らないようにしましょう。
オレンジジュースがオススメな理由
・赤ちゃんの栄養に必要な葉酸が摂れる
・カリウムでむくみや高血圧予防ができる
・ビタミンCで貧血予防、抗酸化作用で守られる
・クエン酸で疲労回復
・βカロチンでママの皮膚粘膜を保護(摂りすぎ注意)
オレンジジュースがつわりに効く理由
つぎに、つわりのときにオレンジジュースが良い理由を説明します。
つわりについて
妊娠初期のつわりは、胎盤から出るホルモンなどが影響するといわれています。
妊娠12週ごろには落ちつく人が多いですが、そのあとも続いて栄養が摂れずに重症化すると悪阻(おそ) といわれ、入院して点滴などが必要になります。
つわりもあなどれないですよね。
つわりは空腹時や高温多湿、においに誘発されることが多いです。
私は空腹時につわりがあったので、勤務中にみかんゼリーなどを食べてやり過ごした記憶があります。
つわりのときでも、栄養摂取を考えるとオレンジジュースをはじめ、手軽に食べられるものを小分けにして食べるとよいでしょう。
みんなの声
先輩ママたちの声をみてみます。
上記のように、オレンジジュースでつわりの症状が楽になったという声が多いです。ただ、一部で「オレンジの酸が辛い」、「嘔吐した」という声もうかがえます。
人によってはつらいと言う方もいるようなので「自分には合わないなぁ」と思う場合には控えた方が良さそうです。
とは言え栄養も水分補給もできるので、つわりのときにオレンジジュースはお助けアイテムといえますね。
オレンジジュースの効果
つわりのときのオレンジジュースの効果を説明します。
① 食欲増進
オレンジジュースの酸味が、食欲を増進してくれます。
すっぱいものを見たり食べたりすると、だ液が分泌されるため食欲が増進します。
② さっぱりする
オレンジジュースの酸味や香りが、口の中をさっぱりさせてくれて、つわりの気持ち悪さを軽減させてくれます。
④ アンモニアを分解
オレンジジュースのクエン酸が、食べ物のアンモニアを中和します。
食べ物にごくわずかに含まれるアンモニア。においで気持ちが悪くなってしまう原因はこのアンモニアにあります。
クエン酸がアンモニアを中和してくれることで、においによる気持ち悪さを軽減してくれます。
つわりにオレンジジュースがよい理由
・酸味で食欲増進してくれる
・酸味や香りでさっぱりする
・においのもとを中和してくれる
オレンジジュースを飲むときの注意点
オレンジジュースを飲むと、逆につわりが悪化する場合もあります。
吐き気を誘発する場合は飲まない
こんな意見があります。
上記のように、オレンジジュースは酸味が強いので、飲んだらつわりを誘発し、逆に吐いてしまう場合があります。
先のみんなの声でも一部「嘔吐した」という意見があげられていましたが、オレンジは酸味が強いため、胃酸が出過ぎてしまうことが原因としてあげられます。胃酸が出過ぎると、逆流性食道炎になる場合もあるため注意が必要。
空腹時はなるべく避け、吐いてしまった場合は飲むのを控えましょう。
100%のものを飲む
100%以外のオレンジジュースは、葉酸などの栄養素がほとんど入っていなくて、砂糖が入っているため避けたほうがよいでしょう。一方で100%オレンジジュースには砂糖ではなく、果糖が入っています。
砂糖と果糖では、血糖値の上がり方が違います。食後血糖値の上昇を表す指標として、GI値(グライセミック・インデックス) というものがあります。GI値が低いと肥満や糖尿病のリスクを減らせます。
GIの最高値がブドウ糖の100としたときに、砂糖はGI値が68、果糖はGI値19と、果糖のほうが低GI食品であることがわかります。
妊娠すると、ホルモンの影響で血糖値を下げるインスリンの作用が効きにくくなり、糖尿病になりやすくなります。妊娠中に発症した糖尿病は妊娠糖尿病といわれ、お腹の赤ちゃんが巨大児となり、難産になることもあるため注意が必要です。
とくに糖尿病の家族歴や、肥満、35歳以上の高齢出産の場合は、妊娠糖尿病のリスクが上がるため砂糖の摂りすぎには気をつけましょう。
以上のことからオレンジジュースを買うときは原材料をみて、砂糖が入っていないかを確認し、100%のオレンジジュースを選んでくださいね。
糖質の摂りすぎに注意
100%のオレンジジュースでも糖質は、コップ1杯で約20gです。
白米お茶碗1杯(150g) の糖質が約55g。
オレンジジュースを3杯飲むと、大盛の白米くらいの糖質を摂ることになります。ガブガブ飲んでしまうと体重が増え、結果として糖尿病のリスクになるため、飲みすぎには注意が必要です。
ほかの食事や間食と調整しながら、1日に飲む量を決めるとよいでしょう。実際に1日の糖質摂取量を説明しますね。
糖質の1日摂取量
糖質の1日摂取量は炭水化物の量で計算します。
炭水化物は食物繊維と糖質でできているため、炭水化物- 食物繊維= 糖質となりますが、食物繊維のエネルギー量は微量のため炭水化物=糖質として計算します。
厚生労働省が定める妊婦の炭水化物1日摂取量は、エネルギー量の50~65%です。
エネルギー必要量は年齢や妊娠初期、中期、後期によって違いますので下記を参照してください
年齢 | 妊娠初期 | 妊娠中期 | 妊娠後期 |
18~29歳 | 2,050kcal | 2,250kcal | 2,450kcal |
30~49歳 | 2,100kcal | 2,300kcal | 2,500kcal |
参考: 厚生労働省 日本人の食事摂取基準
上記のエネルギー量から計算すると、1日あたりの糖質摂取量は下記になります。糖質1g=4kcal、炭水化物摂取量50%で計算しています。
年齢 | 妊娠初期 | 妊娠中期 | 妊娠後期 |
18~29歳 | 約256g | 約281g | 約306g |
30~49歳 | 約262g | 約287g | 約312g |
例えば、あんぱんを1個食べると糖質は約51g摂取することになります。菓子パンや甘いものを食べすぎたときには「オレンジジュースは飲んでも1杯だけにする」 など調整するのがよいでしょう。
また、糖質だけ気にするのではなく、下記のようにバランスの良い食事をこころがけてくださいね。
オレンジジュースを飲むときの注意点
・空腹時は避け、つわりを誘発した場合は飲まない
・砂糖の入っていない100%のものを選ぶ
・ほかの食事と調整しながら1日1~2杯程度にする
オレンジジュース以外のつわりにオススメな飲み物
オレンジジュース以外でつわりのときに飲むと良い飲み物を紹介しますね。
りんごジュース
りんごジュースにもカリウムやビタミンCなどの栄養素が入っているのに加え、ポリフェノールが含まれます。ポリフェノールは抗酸化作用があり、つわりの吐き気を抑えてくれるため、つわりの症状が和らぐ場合があります。
グレープフルーツジュース
グレープフルーツジュースはオレンジジュースと比べて、甘味が少ないためさっぱり飲めます。クエン酸や葉酸などの栄養も含まれ、香りの成分がつわりを和らげてくれます。
炭酸水
炭酸水はスッキリさせてくれて、げっぷを誘発するため吐き気を軽減してくれます。りんごジュースやオレンジジュースを炭酸水で割って飲むのもよいですね。ただ、胃に刺激が強いため、胃痛を起こすことがあります。胃が弱い人は気をつけましょう。
妊娠中に飲んではいけないもの
妊娠中はお腹の赤ちゃんへの影響を考え、アルコールやカフェインなどの制限が必要です。その理由や、どんな飲み物に注意が必要かを説明します。
アルコール
胎盤を通してお腹の赤ちゃんの発育に影響するため、妊娠中のアルコールは禁止されています。
・ノンアルコールビールは0.00%表示のものなら大丈夫ですが、0%だとごく微量にアルコールが含まれている場合があるため注意してください。
・甘酒は、酒粕で作っている場合、微量のアルコールが含まれる場合があります。
お酒が好きな人も、妊娠中はノンアルコールドリンクや、炭酸水などを飲んで雰囲気を楽しむようにするとよいですね。
カフェイン
日本では妊婦のカフェイン摂取量は設定されていませんが、世界保健機構(WHO) は妊婦のコーヒーは1日3~4杯程度と呼びかけています。しかし英国食品基準庁(FSA) によると、妊娠中のカフェイン摂取は、お腹の赤ちゃんの低体重や成長したあとの健康に影響するとして、WHOより厳しい1日200㎎に制限するように求めています。
日本人の体格も考慮し、カフェイン摂取量は1日200㎎以内に制限するのがよいでしょう。エナジードリンクは1本約100~150㎎のカフェインが入っている場合もあるため、妊娠中は飲まないよう注意が必要です。
カフェイン含有量目安記になります。下記は100ml中のカフェイン含有量目安です。コップ1杯が200mlだとすると、浸出液タイプのコーヒーなら1~2杯程度となります。
種類 | カフェイン含有量 |
コーヒー (インスタント顆粒) | 80㎎ |
コーヒー (浸出液) | 60㎎ |
紅茶 | 30㎎ |
煎茶 | 20㎎ |
参考: 厚生労働省 食品に含まれるカフェインの過剰摂取について
どうしてもカフェインが気になる場合は、ノンカフェインのコーヒーなどを飲むか、薄めに抽出させるとよいでしょう。
ハーブティー
レモングラス、カモミールティー、シナモン、ローズマリーなど、成分によっては子宮収縮作用があるため注意が必要です。過剰に摂取しなければ問題はないですが、飲んだ後にお腹が張るなどいつもと違う症状がでたら飲むのを中止しましょう。
購入時には、妊婦が飲めるかを事前に確かめると安心ですね。
オレンジジュースで性別がわかる?
柑橘系などの酸っぱいものを好むと男の子、甘いものを好むと女の子。などジンクスが色々ありますよね。
口コミをみてみましょう。
妊娠前は 柑橘系は酸っぱいから嫌いで一切食べていませんでした。
それなのになぜか 妊娠してから グレープフルーツが好きになりました。 性別は男の子です。
柑橘系は普段は苦手で食べませんが、 一人目の妊娠中はなぜか欲しくなり、ひたすらみかんを食べていました。
性別は女の子でした。
柑橘系を好んでも性別はバラバラです。やはり、ジンクスはジンクス。根拠はなさそうですね。(笑)
まとめ
いかがでしたか。オレンジジュースが妊娠中によい理由や、飲むときの注意点を説明しました。
まとめると以下になります。
・オレンジジュースには、葉酸、ビタミンC、カリウム、クエン酸、βカロチンなどの栄養が含まれているため妊婦さんにオススメ。
・飲むときは100%のオレンジジュースを、空腹時は避け、1日1~2杯程度にしましょう。
オレンジジュース以外にも、りんごジュース、グレープフルーツジュース、炭酸水などがつわりのときに症状を和らげてくれます。
アルコールは飲まないようにし、カフェイン、ハーブティーは量を控えて飲むようにしましょう。
つわりはつらいですが、ずっとは続きません。水分やオレンジジュースなどで栄養補給をして乗り越えていけるとよいですね。
つらいときは周囲に話して休むなど、身体を大切にして過ごしてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。